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2005/06/22

等身大の青春

 先日あらためて「スウィングガールズ」をDVDで観た。「あらためて」と書いたのも、この作品は劇場でも観ているからだ。この作品の主人公はご存知、女子高生たちであり、青春音楽コメディである。この作品に女子高校生の生活がにわか感じられるが、コメディ偏向なのでやや誇張された演出。そもそも脚本も矢口史靖監督自身なので、男性の考える女子高生像で描かれていく。だが女の子同士のワイワイガヤガヤな感じは伝わってくる。しかも黒一点、唯一のスウィングボーイもタジタジな位にかしましい。

 でも映画の魅力となるとどうも乗れなかった。映画として何を描きたかったというと、クライマックスだけなのかなぁと思わせたからだ。彼女たちのリアルな群像は、音楽祭での演奏に尽きる。あの瞬間、あの演奏の間だけは演者を超えて、素の彼女たちになっていた。だからこそ演奏に感動した。でもそれだけだった。スクリーンの向こう、その戦略があざとく思えて、劇中はどうしても笑えなかった。二匹目のドジョウ、それが素直な感想だった。

 同じ女子高生の話として「下妻物語」を思い出した。「スウィングガールズ」と違ってセーラー服でなく、ロリータと特攻服が描く青春コメディである。でもつっぱっている彼女たち二人は何とも魅力的に映る。物語としては終始作り物だったが、それでも最後は感動してしまった。確かに映画の語り口から言えば、あざとさを感じない事は無い。それでも唯一無二、物語さえしっかりしていれば、別に「楽器演奏をマスター」なんて看板が必要無いのを、この作品は教えてくれる。

 よく「等身大の青春」と言われるが、何もリアルに描く事が等身大になるとは限らない。「下妻物語」は、主人公二人が心から青春していて等身大なのだ。だからこそ共感できる。「スウィングガールズ」の売り物にしている等身大とは大きく意味が異なる。どうせリアルを売り物にするのなら、メイキングを映画にした方がいい。しかも最近、メイキング重視の映画作りも少なくない。ただそれこそ映画として本末転倒に思えるのだが。

050622

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» DVD:「スウィングガールズ」 [遠慮無く…書くよ!]
監督: 矢口史靖 出演: 上野樹里、平岡祐太、竹中直人、本仮屋ユイカ 脚本: 矢口史靖 制作: 2004 日本 評価: ★☆☆☆☆ えっと…「レオン」の次がこれで [続きを読む]

受信: 2006/01/21 10:23

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