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2005/04/20

大衆の面前で、ホラをさけぶ

 ホリエモンとフジテレビの80日戦争が一応の終わりを告げた。毎日がドラマチック、経済評論家の解説も両者を二分。優勢する陣営が二転三転の末、最後まで判らないストーリーに日本国民は夢中。今年の流行語大賞ノミネートの「想定の範囲内」を始め、「時間外取引」「ポイズンピル」「パックマンディフェンス」、さらにその名に似つかわない「ホワイトナイト」まで登場したお台場劇場もついに終幕である。結果的には喧嘩両成敗ながら、ライブドアが美味しい思いをした形となった。

 しかしドラマの決着としては三流芝居だったと思う。この物語の転機はソフトバンクインべストメントの北尾CEOの登場の時。フジは救いの手を求め、ライブドアは腹をくくった瞬間である。だが腹のくくり方が悪かった。いやくくったというより、フジ支配を諦めた瞬間だった。間もなくマスコミへの露出は激減、今週月曜まで沈黙を続けていた。おそらく今ならニッポン放送を大きく売れる時と判断したのだろう。そしてあの記者会見。まず三流芝居の所以はそこにある。

 「業務提携できることになり、ワクワクしている」とはいうものの、テレビを見てしらけてしまった人は多い。実はワクワクしている理由が、多額のニッポン放送株の売却益だという事実。そりゃあれだけのギャンブルを勝てば、誰でもワクワクするだろう。そして最もクビをかしげたのが、あれだけフジ支配のお題目にしていたメディア論。記者会見中ではひと言も触れず、何処かに消え去ってしまった事である。その事からも、ホリエモンにとってニッポン放送株売却の主旨が、単なるマネーゲームだったと言わざる得ない。

 「やっぱりマネーゲームなんだ」と最初から見ていたならよし。かくいう筆者はそうだった。だが見ていた大衆、国民の大多数は、お台場劇場の中で何か新しい風を求めていたという事。そもそも世論を味方につけるため、繰り出したメディア論も絵に書いた餅でしかなかったし、結果として何の提案もできなかった。ホリエモンは大衆の面前、にこやかに記者会見に答えていたが、その一方で大衆の求める答えは一つも無かった。いや最初からそんなものは無かったのだ。無いものを在るものとして扇動しただけの事。

 だが大衆を馬鹿にした時、痛い目に会う事をホリエモンは知らない。次の標的は赤坂TBSらしいが、二度も同じ手に騙されるほど大衆も馬鹿ではない。少なくとも劣勢のライブドアを支えたのは世論、大衆の声である。あの記者会見、今までの口から出た綺麗事が全てすっ飛んだ瞬間。ちなみに「何なんだアイツは!」と記者会見を見ていた親父が呟いた。いつも政治や社会を静観する親父らしからぬひと言。実はホリエモンに最も騙されたのは、ウチの親父だったのかもしれない。

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