さよなら新車情報
4月3日(日)、夜の放送でTVKテレビの番組「新車情報」が終了した。最終回は「新車情報大賞2004」という事で日産ティーダが受賞。一方で意中のある車がランク外という事でガッカリ。ただそれはさておき、この番組が終わるという事実は、さらに気持をガッカリさせた。歯に衣着せぬ三本和彦氏の直撃ぶりは、毎回メーカーに向けられる「相変わらずぶしつけな番組ですから...」の出だしからも感じ取れるが、もうその名ゼリフも聞く事ができない。七回前の放送で終わりを告げられたが、それ以前に昨年から試乗リポートを後進に譲るなど、その前兆は何となく感じていた。
「新車情報」の放送を初めて観たのは、もう十六年前になるだろうか。大学通学で厚木に住む事になり、目にしたテレビ神奈川。すると高速道路ではこぶしを頭と天井の間に入れ、天井高、クリアランスを評価し、「パワーというのは麻薬のようなもので...」といつもの山坂道でのインプレッション。さらに「このマグロの切り身みたいなもの」と画一化したテールライトのデザインを一刀両断。ルックスやパワー、車の持つ趣味性ばかりに目が行っていたところに、思わず目から鱗が落ちたのだった。三本氏の独特の切り口は初見にして魅了したのだ。当時はバブル真っ只中だったが、車も個性派が登場し、毎週が楽しみとなった(三本氏を見ていると、ウチのオヤジをイメージさせる点も大きいかも)。もちろん学友と三本節を真似したのは言うまでも無い。
この番組の面白さは、車の趣味性に限らず、生活の道具である点に注目した事。先のこぶしの例もそうだし、三本氏は再三Aピラー(フロント窓の一番前の柱)の角度を指摘していた。車なんてカッコ良ければいいと思っていた矢先、実際に車を買う、扱う立場になった時、そうした点が如何に重要か思い知らされた。しかもこの番組では、他の自動車情報番組では扱わないトランクの大きさを、独特の物差しで紹介。視聴者の意見を汲み取った三本イズムの最たるものだろう。一回の放送で一台を徹底解剖(とはいえ、時間がきてしまうと「もう終わり?」と呟く三本氏)。メカニズム、最新技術、環境対策(番組中、ディーゼルエンジンの有用性を説いたのは有名)、細かな使い勝手に至るまで、三本氏の視野の広さも番組の魅力であった。
人生において聞く耳を立てられる相手は限られる。少なくとも三本氏はその中の一人だ。生活の道具である側面を強くしつつも、車に対する趣味性を必ず何処かに感じさせていたからだ。そうしたこだわりある言葉が我々を惹きつけ、新たな価値観を見つけてくれる。車を見るとそのオーナーの人柄が垣間見えるもの。車とはそうした面を持つ稀な存在である。番組を去る三本氏の言葉は少なかったが、充分に目的は達成されたと思うし、ご苦労さまと言いたい。来週からはリニューアルされ、全く新たなスタートを切るが、三本氏の切り口に負けないこだわりある番組を期待したい。
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コメント
TBありがとうございます!。
先程tvkは再放送も遂に終了!。
明日からは後継番組「クルマのツボ」が始まりますね。
私たちの期待に沿う番組になってくれますでしょうか?
投稿: JAY | 2005/04/09 13:06
こちらこそトラックバック&コメントありがとうございます。
一応、今日の再放送は録画しておきました。永久保存版ですね。
さてさて明日の新番組、大注目です。
楽しみにしてます。
投稿: でんでん | 2005/04/09 15:49