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2005/03/17

『ニュースは買うもの』

 ニッポン放送株問題。形勢不利から一転、新株優先権が却下。さらに地裁で時間外取引の合法性が支持され、ライブドアは勢いに乗っている。ホリエモンこと堀江社長は今や経済ばかりでなく、日本最大のニュースの渦中にいる。彼の言葉は物議を醸しているが、その中でも『ニュースは買うもの』という発言に世間は驚かされた。だが、もっぱら今のニュースを作っているのは彼自身ではある。

 そんなホリエモンを見て思い出すのが、007シリーズの第18作「トゥモロー・ネバー・ダイ」である。この作品でボンドの宿敵となるのが、メディア王のカーヴァー。ホリエモンとカーヴァーの姿が重なるのだ。映画の中でカーヴァーは新聞、テレビ、インターネットと世界のメディアに一大ネットを築き、しかも『ニュースは自ら作る』と世界で事件を起こしていく。そしてその欲望は頂点に達し、まるで「宇宙戦艦ヤマト」のドメル将軍を思わせるドリルミサイルを、中国領海でイギリス艦船に叩き込む。

 さすがにホリエモンはドリルミサイルを撃ち込む事は無かったが、インターフェアぎりぎりのところで勝負してきた。ただホリエモンの行動はフジテレビにとって、まさにドリルミサイル級。そして映画のカーヴァーも顔負け、ニュースを自ら作っている。そして経済の自由化、欧米化の波を味方につけて、将来もし彼がフジサンケイグループを牛耳る事になったとしたら、彼の『ニュースは買うもの』という発言の第一歩は、大きく前進する事になる。

 そもそもマスコミ各社は全てのニュースソースを自らの取材だけでなく、配信されているニュースを買ってくる事もある。特にインターネットのほとんどのポータルサイトは、ニュースを買ってきている。だからホリエモンの発言は別段、不思議なものではない。だが何でも欲しがるホリエモンと同様にメディアも貪欲だ。小さなスキャンダルが命取りになる事もある。もし自らそんな自体を引き起こしても、ホリエモンはそんなニュースを買うのだろうか。ただ要らぬ心配かもしれないが。

050317

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