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2005/02/05

人生いろいろ

 昨日、某番組を見ていたら、島倉千代子が出演していた。その中で語られる彼女の半生。貧しい生活、家族。順風満帆の歌手生活の一方、自らの結婚と離婚。さらに詐欺に巻き込まれ、窮地に追い込まれて、声まで出なくなった事があるという。そんな中でで出会ったのが、のちの大ヒット曲となる『人生いろいろ』。「死んでしまおうなんて、悩んだりしたわ...」の歌詞は、そうした彼女の経験してきた人生観が反映されていたものだと知ると、余計に考えさせられるものだ。

 ボクは会社の人と飲みに行く事が少なくない。そんな中、饒舌によくしゃべる先輩がいる。確かに聞こえはいいもののよく聞いてみると、他人の話であったり、歌詞の引用であったりする。マシンガントーク、言葉の羅列はテンポがよくても、言葉に魂がこもっている感じはしない。むしろ言葉に詰まったとしても、丁寧に伝えようとする言葉のほうに魅力を感じる。ボクはその先輩にある席で「言葉をもっと大事にして欲しい」と話した事があるが、果たして何処まで通じただろうか。

 ボクはホームページやコラムを書くようになって、言葉の重みを痛感するようになった。まず発する言葉に自分の主張が込められるべきだし、例えそれが引用であったとしても、自分のフィルターに通して話すべきだと思っている。美辞麗句はいいが、身分不相応、口だけに終わるような書き方もしたくない。たまに他人を傷つけるような事を書いてしまっているかもしれないが、その背景、ポリシーを通した上で、間違った事を書いたつもりはない。たぶんその場合、行間が読めず、短絡的に捉えられてしまったのだと思う。とはいえ、ボクが全く逆の立場となる事もあり得るのだが。

 さて何故そんな話を持ち出したかというと、妄言癖のあの方の事を言いたかっただけ。先日、そんな小泉総理は国会、二十七日の予算委員会にて菅直人民主党前代表の追求に、「人生いろいろ、当たり前じゃないですか!」と開き直っていたからだ。政治手腕はさておき、この人の相も変らぬ言葉の重みの無さには呆れてしまう。少なくとも総理には、前述の島倉千代子のこの歌に託した言葉、歌の重みは伝わっていない。もし伝わっているのであれば、「人生いろいろ、当たり前じゃないですか」なんて、国会で口が裂けても言えるはずがない。実は「言葉をもっと大事にして欲しい」と思うのは、そんな小泉総理に対してなのである。

050205
人生いろいろ/島倉千代子

作詞: 中山大三郎 作曲: 浜口庫之助

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