平井堅「SENTIMENTALovers」を購入したが...
最近、母に苦しい唄い方をする歌手と称された平井堅。先日、そんな彼の新作アルバム「SENTIMENTALovers」を購入した。CMでおなじみ「思いがかさなるその前に・・・」、映画版セカチュウの主題歌「瞳をとじて」を中心にシングル4曲を含めた全12曲のアルバム。しかし聴いているのはやはり前述の2曲である。一番キャッチーな曲だし、カラオケで唄いたい。しかし聴けば聴くほどに難しく、しかも母の言葉を借りればまさに唄うのに苦しい曲である。
「思いがかさなるその前に・・・」「瞳をとじて」共にメロディーライン、節回しが一筋縄でない。一聴してこの曲を完璧に唄いこなせる人はいるのだろうか。例え歌詞を見ながらでも唄う事は難しい。苦しいと思わせる所以はプロ向きの節回し、さらにブレスを入れる箇所の難しさにある。ただでさえ男性には難しい高域をふんだんに織り込み、激しい息継ぎを要求される。「素人向けではない」と一喝されてしまいそうだが、平井堅の唄い方を見るとプロも苦労しているなと思わせる。
第二次カラオケブーム、ちょうどカラオケボックスが台頭した頃からこの傾向は始まった。小室サウンド全盛、彼の曲にはシンプルなものもあるが、多くは同様に独特のリズムと難解な節回しを多用した曲ばかりだった。時同じくしてカラオケには採点機能が付いたものが多くなり、得点を争う人も少なくなかった。この時から音楽を楽しむよりも、メロディーに振り回されるというのに等しい時代が始まった。そして音楽を送り出す側、受け取る側とも技巧のイタチゴッコの繰り返しが今も続いている。
さて平井堅の「SENTIMENTALovers」を聴いていると、絶えず難しい曲ばかりとは言い切れない。ポップな曲も多く、その狭間で聴かせどころとなるのが、一曲目の「思いがかさなるその前に・・・」と四曲目の「瞳をとじて」なのだ。もちろんアルバムをフィーチャーしたコンサートを想定すると、「思いがかさなるその前に・・・」級の曲が続いてしまっては唄う側も聴く側も疲れてしまうだろう。決め球は要所だけに使うのが有効なのだから。ちなみに三谷幸喜のドラマ「王様のレストラン」のポップな主題歌は何を隠そう、そんな平井堅なのである。その唄に苦しさは見られ無かった。
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