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2004/10/31

「デビルマン」に[鬼の爪]の垢(あか)を煎じて飲ませたい

 「隠し剣 鬼の爪」を観にいく。感想コラムにも書いた通り、「たそがれ清兵衛」の姉妹編的な作品で、主人公はやや若返った海坂藩の平侍。師匠から引き継いだ「鬼の爪」という剣技を持つものの、刀で人を斬る事を好まぬ実直な男。彼を慕う奉公人のきえとの関係、さらに同門との対決が控える等、前作「たそがれ清兵衛」と似た面は少なくない。ただ感情移入という点で、筆者的には前作より劣る気がする。少しエンディングがキレイ過ぎるからだ。そのキレイと対比させる形で、彼は刀を置く覚悟を決める事になるのだが、ちょっとその理由が卑怯かなと。ただその卑怯な事こそ「隠し剣 鬼の爪」の前作と似て非なる部分で、主人公への引導ともなる。きっかけは一子相伝に○○剣(字は違うけど)、まるで「北斗の拳」みたいだが、そんな点も似ているかもしれない。

 姉妹編というと「スウィングガールズ」も「ウォーターボーイズ」とそんな位置にあり、「スウィングガールズ」に物足りなさを覚えたが、「隠し剣 鬼の爪」にはそれ程の印象(物足りなさ)を感じなかった。もちろん全く無いといったら嘘になるが、それを支えるのは脚本と演出である。「スウィングガールズ」は中心が笑い、そこにドキュメント性を帯びた俳優たちの楽器への挑戦が絡む。脚本はやや二の次的な印象は拭えなかった。しかも笑いに絡む友情はドライ。同性でない女の子たちが主人公だからかもしれないが、そこが筆者の琴線に触れなかった。

 一方、「隠し剣 鬼の爪」は原作に描かれた背景が丁寧に描かれており、歴史ドラマとしての側面を持つ。行進さえまともにできなかった足軽たちが、しゃんとした一端の兵隊に成長する姿。「ラスト サムライ」でも同様の描写があったが、こちらは笑いはあってもリアル路線。そんな点にも惹かれる作品である。

 また主人公から端役まで、演技陣に一点の隙も見られない。松たか子もいいが、中でも本作の良さはもう一人のヒロイン高島礼子にある。シーン数は少ないが、その表情と存在感は強い印象を残す。ここも「たそがれ清兵衛」との大きな違いだろう。脚本と演技は映画の両輪。それを怠った「デビルマン」製作陣に[鬼の爪]の垢(あか)を煎じて飲ませたい位だ。
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洋画もいいけど邦画もね♪ってことで、こちら名匠・山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』に続く時代劇でございます。 永瀬正敏と松たか子が出演というのも気になるところ。 題名にもある“隠し剣 鬼の爪”というのはいったいどんなすごい秘技なのかしら?と、終盤にほんの少しあ..... [続きを読む]

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