2022/12/04

「DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン」を観る

今日はAmazonプライムビデオで「DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン」を観た。「シン・ウルトラマン」アマプラ独占配信に併せたサプライズ。庵野秀明監督が大学在学中に製作した作品として知られる。80年代当時、アニメ雑誌「アニメック」を購読していた身には幻の作品。ネットなどまだ無い頃、記事に思いを巡らせるも動く画を見る術は無かった。

アマプラで改めて観直した「シン・ウルトラマン」の後、本作を初めて鑑賞した。まず思ったのは映像のクオリティと情熱は反比例する事。約28分の短尺ながらも本作は熱い。音楽はウルトラシリーズの劇中のものを使用。そんなオリジナルへの敬意は庵野監督の「シン」シリーズに相通じる。

物語は市街地に怪獣が登場するシンプルな展開。だが歯が立たぬ攻撃に地球防衛軍からある指令を受ける事になる。その指令がなかなか重い。脚本はあの岡田斗司夫。他スタッフの名を見ていけばあのガイナックスが思い浮かんでくるだろう。そして島本和彦の「アオイホノオ」の世界観、人物がその背景でもある。

メカデザインは庵野監督によってリファインされ、マットアローはイーストウッドの「ファイヤーフォックス」に似たものになった。マットアローやマットジャイロ、そして汚しや造形に至るまで高レベル。さすがはゼネラルプロダクツ(のちのガイナックス)。当時ゼネプロのガレージキットは模型雑誌「ホビージャパン」の広告にも出ており、作る技量は無かったけどジェットビートルは欲しかったなぁと思い出す。

そして玄人はだしの特撮も見どころ。しかもミニチュアの出来が8㎜映像と相まって味がある。だからといって手抜き無し。「シン・ウルトラマン」を観た後でむしろ「クオリティと情熱は反比例」とはまさにそれで、映像作りの創意工夫が垣間見え、むしろこちらのほうを推したくなる。しかも奇をてらった画(構図)は短編だからこそ活きる気がする。

もちろん本作最大の見どころは庵野監督自らが演じるウルトラマン。メガネ姿にスニーカーも上半身はウルトラマンのカラーリング。こだわりはカラータイマーの作りに点灯、点滅具合に表れている。そんな庵野監督が令和に世に「シン・ウルトラマン」のモーションアクターとなって真のウルトラマンとなるのが一番面白い出来事なのかも。

221204_01_


| | コメント (0)

2022/12/03

「蜘蛛巣城 4Kデジタルリマスター版」を観る

今日は午前十時の映画祭で「蜘蛛巣城 4Kデジタルリマスター版」を観てきた。三船敏郎主演、黒澤明監督による1957年公開作品。シェイクスピア作品を日本を舞台に置き換えたものと知ってはいたが未見。忠臣だった男が主君を殺し蜘蛛巣城の城主となるものの、降り掛かる出来事に混乱、その末路が描かれていく。

好きな黒澤作品を挙げれば「用心棒」に「天国と地獄」。ただこれまで苦手な黒澤作品もあった。「蜘蛛巣城」を観終わってどうもそちら側の作品に思えた。エンタメ性よりも芸術性に振った作品が苦手だったのだ。裏切りの果ての悲劇は舞台劇調に展開され、セリフは黒澤作品の中でもより感情をぶつけるが故に他作以上に聞き取り難い。

ただ映画として面白い点。モノクロ作品ながら時に色彩を感じるところが凄い(「天国と地獄」のあのシーンとは別)。モノクロの中でライティングを含めて表現を設計していったのだろう。鷲津の妻の着物を見て赤を感じた。全般、画作りが巧みでかつ群衆、そして森の迫力に圧倒された。

もちろん一番は世界のミフネ。今回も圧倒の存在感に豪快な三船だが、その演技は後半で一変。こんな三船は見た事がない。そして懐疑心は悲劇を引き起こしていく。そして最大の見どころは無数の矢が放たれるシーン。三船は黒澤の仕掛けた演出(「ワルイコあつまれ」でも紹介)で恐怖におののく究極の表情をみせる。

全般時代劇ながら、舞台劇調ともののけとのやり取りにその世界観を受け入れる難しさ。でも「用心棒」にも出てくる黒澤組の俳優たちが多く登場、そこを探すのは楽しかった。

221203_01


| | コメント (0)

2022/12/01

「RRR (アールアールアール)」【IMAXレーザー字幕版】を観る

今日は映画の日。そこで「RRR (アールアールアール)」【IMAXレーザー字幕版】を観てきた。1995年公開「ムトゥ 踊るマハラジャ」以来のボリウッド映画の鑑賞。琴線に触れるストーリーに加え、映えるアクションにロマンス、そして音楽とダンスでインド映画の王道を行く。しかも鑑賞後に拍手が起きる映画は久しぶりだ。最終上映に間に合ってよかった。

1920年植民地時代のインド。英国から派遣されたスコット提督は人民を奴隷扱い、夫人の気に入った村の娘を連れ去っていった。その妹マッリを取り戻すべくデリーで好機を待つビーム。そんな彼の目の前で鉄橋爆破事故が起きる。船の転覆で川に投げ出された少年に近づく炎。助けたいビームの思いに呼応するよう合図を出す男、ラーマがそこにいた。

スタートから劇場の音に気圧される3時間。いや時間を忘れるくらい惹きこまれた。さすがに最後はお尻が痛くなったが、いろんな意味で圧倒。ここまで今年個人的No.1だった「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」をある意味超えた感も。この作品はそう思わせるだけの面白さに溢れ、気付けばビームとラーマの最強バディに大好きなあの香港映画が重なっていた。

ジェラルド・バトラー似のビームとボリウッドハンサムのラーマ。二人の超人ぶりは冒頭のエピソードに表れている。しかしそう単純で無い事が徐々にわかってくるストーリーテリング。特に幼少期のラーマが目にした惨劇。父の教えを胸に冷酷に手を下していくも葛藤との狭間。だがその思いはスコット提督率いる英国特殊部隊の前で爆発する。

先の
香港映画だけでなく、クライマックスでのラーマの武器アクションはまんまあの有名作品。でもこれはオマージュ。それを彩るCG多様のVFXも嫌味が無い。物語がしっかりしてるから、むしろ気持ちいい位。ただクライマックスまでのテンションは弓矢を離すまでの緊張感に絶望感。親友同士が敵味方に分かれ拷問していくところは涙無くして観れない。

といえボリウッド映画。そうした緊張と絶望の合間、歌とダンスに笑いを交えて楽しませる。主役の二人は本当に器用だし踊りが上手い。二人の気の合ったパーティーでのダンス、そしてエンドロールも最高だもの。綺麗どころの二人の恋人も見事な歌とダンスをみせる。大団円の後だから本当にエンドロールは気持ちよく観ていた。

ホント、この映画凄いよ。全世界で大ヒットも納得。映画館、しかもIMAXで観て本当に良かった。近くで上映のある方は騙されたと思って観に行って!。ラージャマウリ監督の過去作、映画「バーフバリ」シリーズも観たくなった。さて今年のNo.1はどっち...もう少し考えさせてください。

追伸.
スコット提督の妻を演じる女優さん、何処かで観た気が...と思ってエンドロールを見るとAlison Doodyの文字。そう「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」に出ていた一緒に聖杯を探す考古学者だった人。今回凄く嫌な役だったけど、それが観ている側の感情を引き出していて良かった。

221201_01


| | コメント (0)

2022/11/27

「ガンズ・アキンボ」を観る

今日はAmazonプライムビデオで「ガンズ・アキンボ」を観た。2019年のイギリス、ニュージーランド合作のアクション映画。「ハリー・ポッター」から一転、ダニエル・ラドクリフの「ホントは変人デスシリーズ」の一作(ウソ。そんなものはありません)。「スイス・アーミー・マン」と同様、摩訶不思議な世界観に引き込まれていく。

犯罪者同士の殺し合いをネットに流すスキズムと呼ばれる闇サイト。その暴力と中毒性で視聴者数を伸ばしていた。マイルズは日常の憂さを晴らすようにスキズムに挑発的なコメントを投稿。そんな日、突然謎の集団に拉致されてしまう。目が覚めたマイルズの両手には取り外さないよう銃が取り付けられていたのだ。そして殺し合いの世界に解き放たれていく。

まず観始めた瞬間、これは「デスレース2000年」と同じ匂いと感じた。正直この映画は毒にも薬にもならない。ただ人の行きつく先は自制の外れた暴力中毒。約50年前に提示された世界は今や当たり前のように描かれている。その最たるはAPEXのようなバトルロイヤルゲーム。仮想空間だろうが所詮殺し合い。この映画に出てくる視聴者はその世界を抵抗なく受け入れている。それがある意味恐い。

そんな事言ってこの作品を楽しんでしまう自分がいる。何しろラドクリフ演じるマイルズの巻き込まれ具合が可笑しい。着替えや用足しも容易じゃない。何処か微笑ましかった「スイス・アーミー・マン」に比べ、こちらは爆笑してしまう。タイトルは二丁拳銃の男という意味。オドオドのラドクリフがやがて無双状態。その爽快さが更なる中毒性を生んでいく。

映画ファンとして観ると、マイルズとニックスとの街中チェイスやガトリングガンの煽り撃ちは「ターミネーター2」だしオマージュ感のあるシーンに気付く。ニックスのコスチュームもアレンジはあれど「T2」っぽかったもの。

個人的には中国系のヒロイン、エヴァを演じたナターシャ・リュー・ボルディッツォが良かったな。吉田羊を彷彿とさせるクールでポップなルックス。ただマイルズとエヴァの顛末はある意味、この映画の薬となる部分。現実、この映画で爽快の反動とはそういうものだもの。

エンドロール中、プライムビデオが次の作品にFPS系バイオレンス「ハードコア」を指名したのに納得。まぁそれはさておきとにかくこの映画は面白かったよ。

221127_01


| | コメント (0)

2022/11/26

「ザリガニの鳴くところ」を観る

今日は全世界1500万部のベストセラーの小説を映画化した「ザリガニの鳴くところ」を観てきた。タイトルだけならホラーと勘違いしてしまうがミステリー。いやミステリーとして始まり、主人公の人生を追いつつ、再びミステリーで結ぶ作り。主人公カイアを通して女性差別と偏見の時代を描いていく。

1969年、アメリカノースカロライナ州。その地の傍らで湿地の娘と呼ばれる女性カイア。その理由は人里を離れ、湿地と自然の中でただ一人で生きてきたからだった。そんな彼女の住む家の近くで殺人事件が起こる。その遺留品が家から発見された事からカイアは殺人容疑が掛けられてしまう。

製作に女優リース・ウィザースプーンが名を連ね、その時代に偏見や差別と戦う姿は現代のMe Too運動と重ねるのは偶然であるまい。日本の興行的にこのタイトルは一見マイナスと思えるが、その英断は物語の最後に証明される。このタイトルで無ければ映画化した意味は無い。まぁ大ベストセラー過ぎて簡単に変える訳にはいかないか(観る前、何でザリガニって思っちゃったんで)。

幼少期に文字の読めなかったカイアが、恋人から教わり、手に入れた書物から知識を得ていく。その過程を魅力的に演じるのが主演のデイジー・エドガー=ジョーンズ。自然の中の少女がやがて美しい女性に変わる。こりゃ惚れちゃうよ。「マイ・フェア・レディ」や大好きな「ロマンシング・ストーン」のヒロインに通じ、最後まで物語に惹きつけられたのは彼女にある事が大きい。

途中、恋愛映画と錯覚する程に彼女と恋人の姿。そんな二人と重なる自然が美しい。遠く離れた母親の存在にカイアの身に降りかかる出来事。冒頭、拘留中の彼女が発した言葉に思い出すようにハッとさせれるラストシーン。エンドロールに流れたテイラー・スウィフトの楽曲も意味深い。タイトルに気を取られず、いや彼女にとってその意味を考えつつ観て欲しい。

221126_01

| | コメント (0)

2022/11/23

「ザ・メニュー」を観る

今日はシネコン(1本目と別の劇場)のサービスデイだったので2本目へ。レイフ・ファインズ主演の「ザ・メニュー」を観てきた。アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルトら演じる客を孤島のレストランでもてなす有名シェフのスローヴィク。だがそのコースメニューにはある意図が仕組まれていた。そして4つ目のメニューが出された時、目の前で事件が起こる。

予告編を観た通り、いやむしろストレートなストーリー。製作にアダム・マッケイが名を連ねるせいかかなりブラック。高額を払い招かれたセレブ達はその料理に舌鼓を打つも、やがて恐怖のどん底に落とされていく。まさにシェフも客も命懸け。オレならそんな状況下で料理を食べても味はしないだろう。

この映画のウイークポイントは(オレには)料理が美味く見えなかった事。しかも「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」のようなシェフの華麗なテクニックも無い。見せ場といえばスローヴィクが手を打ち鳴らして呼応するシェフたちか。それを支配するスローヴィクはレイフ・ファインズが演じてこそ。しかし漂う不可解さ、何でそこまでと思う面は多々あったのだが。

ただ救いはある。それは大好きな俳優、ジョン・レグイザモが出ている事。落ち目の映画俳優役というのが気になるが、彼が出ているだけでいい。「シェフ 三ツ星....」にも出ていたっけ。スローヴィクが彼を招いた理由が可哀想過ぎる。それだけでこんな思いをさせられるとは。

物語が進むたびに何故と思うより、物語に対するスローヴィクの支配力に圧倒される。だから最後まで退屈など無かった。そして対峙していくマーゴ。演じるアメリカの小松菜奈ことアニャ・テイラー=ジョイとの駆け引き。スローヴィクにとってシナリオ外の登場人物とその顛末。確かにその手はあるか。オレに「ザ・映画」という招待があったとしても絶対に行かないけど(苦笑)。

221123_02

| | コメント (0)

「ある男」を観る

今日は「ある男」を観てきた。妻夫木聡、安藤サクラ共演の社会派サスペンス。事故死した夫は全くの別人だった。弁護士である城戸はそんなある男の過去を調査する依頼を受ける。TwitterのTLでも多く取り上げられ、気になって観る事に。なるほど、物語が進むごとに深く考えされられる作品だった。

生まれてきた境遇で逃れられないもの、変えられるもの。逃れられないものが圧倒的に多いが、そんな社会観を城戸と調査するXを通してあぶり出されていく。特にXを巡る境遇こそ最たるもの。どんなに正しく生きても世間が許さない社会。鑑賞中、胸に抱く思いも社会に戻れば偽善と見透かされるよう。それでも気付かないよりはいい。

社会はそんな世間体の多層構造物。それらを想起させるシーンもある。様々に生まれる差別と現実。もう一つの「すばらしき世界」。実際、城戸も一筋縄ではいかない出生。義父母との会話、ある人物との対峙のたびに突きつけられる。そんな城戸だからこそ、Xの調査に深入りしていくのも解る。やがて訪れる家族の絆の対比、ファーストシーンと終幕が繋がる瞬間が堪らない。

巧みな演者が集まって群像劇として面白い。狂言回し的な主人公、城戸を演じた妻夫木聡の安定感。そして僅か3年9カ月ながら、時の流れを感じる安藤サクラの演技。同じ時を過ごした窪田正孝の変化も素晴らしい。そしてそれ以外のシーンも。でんでんさんはさすがの貫禄。意外な清野菜名の場末感も良かった。

登場人物を追うフレームに映画と意識させるアップの少ない画作り、僅かながら背中を映すカットも印象的。これはテレビサイズでは伝わらない。シリアスで重い物語ながら、小籔さんのコメディーリリーフぶりにニヤリ。そんなバランスも見事。とても映画らしい作品でした。オススメ。

221123_01


 

| | コメント (0)

2022/11/20

「箪笥(たんす)」を観る

今日はWOWOWオンデマンドで2003年公開の韓国ホラー「箪笥(たんす)」を観た。鑑賞後、WOWOWの作品紹介を見ると「韓国では誰もが知っているおなじみの古典怪談」らしい。ただ映画は時代設定が不明確ながら現代が舞台である事は判る。姉妹が父親と共に我が家に戻ったところから物語は始まり、その姉スミの目を通して歪んだ家族関係が明らかになるのだが。

ウィキを読むと原作はとてもシンプルも、この映画版は二重三重の物語構成になっている。ただそれに気づくのはエンドロール前。繰り広げられる展開や一部理解不能な映像も最後には納得するだろう。メイクの巧さもあるが、中でも継母ウンジュの表情の違いに驚かされた。そしてタイトルの理由、スミとウンジュの確執の理由は本当に最後の最後まで観ないと解らない。

やはり物語の導引となるのはスミとスヨンの姉妹。スミを演じたイム・スジョンは時に永野芽郁、芦田愛菜に似た表情を見せて惹きこまれる。ウンジュの前、スヨンの手をグッと握るスミに感じる絆。しかも父親に対する思わせぶりな態度、妹スヨンへの愛情と家族への思いが不可解な事象を引き起こす。

説明的な描写はあまり無く、アジア映画らしい行間を読むような鑑賞を求められる。その点で実の母親の立場は想像の範囲でちょっと物足らない。この作品の良さは思わせぶりな展開もさることながらそのビジュアルとサウンド。ライティングの巧さ、韓国家屋や箪笥のデザイン、そして音の引き込み方。ヘッドホンや優秀なサラウンド環境での鑑賞を薦める。

221120_01

| | コメント (0)

2022/11/19

「勝手にしやがれ」を観る

WOWOWで録ってあったジャン=リュック・ゴダール監督「勝手にしやがれ」を観た。1960年公開のフランス映画。ゴダール監督が今年9月に亡くなった事への追悼放送。フランスの大スター、ジャン=ポール・ベルモンドの代表作の一つ。ヌーベルバーグを代表する作品であり、今観ても斬新でかつ新鮮さが漂う。

ジゴロでもあり詐欺師のミシェル。夜を過ごした女性を騙しつつ、金づると宿代わりに過ごしていた。だが自動車を盗んだところに追いかけられた警官を殺してしまう。そんな彼が頼ったのがアメリカ人の彼女パトレシアだった。そんな事情を知らないパトレシアとミシェルは行動を共にするのだが。

逃避行というにはのんびりと、根っからの女好きのミシェルはベッドで過ごす事を選ぶ。しかもサイフは彼女頼り。ユーモア溢れるセリフにフランス映画独特の世界観。劇中、ハンフリー・ボガートのポスターを見て身を正すミシェル。彼の根底にはハードボイルドを秘め、逃げも隠れもしないラストシーンに繋がっていく。

物語だけでなく映像も新鮮。光と影を活かしたモノクロ映像は窓際にベッドでの会話を映す際の趣きを醸す。ベッドインしたいミシェルとはぐらかすパトレシア。一転、当時のパリ街中が何ともオシャレ。もちろんベルモンドにパトレシアを演じるジーン・セバーグのファッションと粋なセリフも見どころ。また一見雑に思える編集も味となる。出てくるクルマたちもいい。

1960年公開当時、これだけ好き勝手に過ごすミシェルの言動は日本人の観客にとって相当な衝撃的だったと思う。そんな作品の雰囲気とベルモンドの風貌はモンキーパンチのルパン三世(マンガ、アニメ共)に影響を与えたのに十分。この作品のDNAは様々な作品に伝搬、拡散されていった。改めて名作ぶりを認識。もう一度、映画館のスクリーンで観たいな。

221119_01


| | コメント (0)

2022/11/18

「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」を観る

今夜は「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」を観てきた。長いタイトル通りにタイムループを扱ったコメディー。同じ一週間を繰り返しているオフィスの出来事とその顛末。気がつけば彼らにまた同じ月曜日の朝がやってくる。そんな彼らはどのようにしてループを脱していくかを描いていく。

名目上の主人公は円井わん演じる吉川。だがループの事実を知る度に仲間を増やし、共同して問題解決に協力していく群像劇。その事実を知らせていく過程、同じオフィスの仲間が縦社会からその構造を変えていくのが面白い。またこれまでのループものと同じ韻を踏みつつ、後悔しない人生とは何かを考えさせられる。

この映画は単純なストーリーの繰り返しのようで実によくできている。まずテンポと緩急の付け方が絶妙。次々と明らかになっていく背景と出来事の一つ一つの出し方も巧い。最後のターゲット、その事実を知らない部長の驚き。特にパワポネタの連続コンボに爆笑。そんな永久(!)部長を演じるマキタスポーツはまさに適役だった。

やがて知る事になる解決の手掛かりに皆の力を結集。そんな彼らが一週間を繰り返すたびに愛おしくなる。物語がしっかりしているから小ネタにも目が行くようになる。映画ファンも思わずニヤけるセリフにこれは愛すべき小品でオススメ。NHKの少年少女シリーズを思わせるエンドロールのデザインも好き。あと吉川のスマホの着信音が欲しいな。

221118_01


| | コメント (0)

«「サウンド・オブ・007」を観る